恋する吹奏楽部
♬ B♭E♭E♭E♭E♭G#
「へくちょんっ!!」
「おい、ゆーと、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。」
俺、梶間佑都は困惑している。
なんせ部屋が夢雨と同じだから!!!!!!!
「にしてもゆーと、それは薄着すぎだろ」
「そうかなぁ?」
今の格好はTシャツ一枚に短パンのみ。
「これ羽織ってろよ。」
夢雨が俺に上着をかけてくれた。
「え、むぅいいの?」
「うん。」
「本当に!」
「うん。」
「ありがとう!」
そして俺はいつものように夢雨に抱きついた。
ただのスキンシップ。
一年の頃からで夢雨も慣れてる。
はずなのに。
「___え」
いつもは「はいはい」って言って俺の頭を撫でる夢雨。
今日は違った。
肩を回して俺を振りほどき、俺から一歩離れた。
「むぅ?」
「・・・。」
「・・・?」
しばらくの沈黙。
その沈黙を破ったのは、俺でも、夢雨でもなかった。
「むううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
部屋のドアが勢いよく開いた。
そこにいたのは。
「篠崎・・・。」
「今すぐきて。」
夢雨は戸惑いながらも頷いて部屋を出て行った。
俺を見ずに。
ぱたん とドアが閉まり、部屋には夢雨の上着を羽織った俺だけ。
急の篠崎の登場に焦ったけど、今は一人で寂しい。
そして夢雨の体から俺の手が離れてしまったときの驚きが脳内で巡り廻る。
俺の手にあの感触や温もりはすべて消え去った。
もしかして夢雨に嫌われたかな。
嫌われるようなことしたっけ?
大人しい夢雨はうるさいの嫌いだったかな?
たしかに俺うるせぇよなー。
ちっちゃいのは嫌いかな。
牛乳飲んでるんだけどなぁ。
やっぱり男は友達以上の関係にはなれないんだな。
あらためて思い知った。
涙がこぼれた。
♬ F