恋する吹奏楽部

♬ F B♭

夢雨視点.
「え」
「夕璃が急に倒れちゃったの。」
「で?」
「あほう」
ズギャン
篠崎に蹴られた。痛い。
目の前には布団で寝ている島津。
顔色が悪く、うなされているよう。
「お願いだから夕璃の側にいてあげてよ。」
「・・・。」
篠崎が俺の胸ぐらを掴む。
でも決して怖い顔をしない。
今にも泣きそうだ。
「・・・・・・・わかった。」
篠崎が手を話した。
「でも、なんで俺なんだ。」
「知ってるんでしょ、夕璃の気持ち。」
「・・・・。まぁ。」
島津は俺のことが好きならしい。
去年のクリスマスのウィンターコンサート後に告白された。
返事はまた今度する。
それだけ言い残してそのまま。
帰り際に島津はこういった。
「返事、いつでも待ってる。いつまでも待つから。」
ひどいことを言うようだが、俺は別に島津のことはなんとも思っていない。
1年の頃は代表もやってたし、吹奏楽打楽器で推薦されていて、高校はいいとこだってほぼ確定。
よく頑張ってるいいやつだと思ってる。
でも別に好意はない。
「それでも友達のお前がいたほうがいいんじゃないのか。」
「夕璃は今も!!」
「っ!?」
「あんたの返事を待ち続けてんのよ!!」
「だからって、」
「いい加減に目を覚ませ!」
「はぁ?」
「夕璃の気持ちに答えてあげてよ...。」
篠崎が泣いた。
泣き顔を絶対に見せない篠崎が、泣いた。
「付き合えとは言わない...でも。」
「・・・。」
「夕璃があれから一回もあんたの話をしようとしないの....!!」
「・・・。」
「夢雨のばかっ!」
篠崎が部屋から出て行った。
「はぁ・・・。」
そんなこといわれても。
どうしようもないじゃんか。
今はゆーとにしか目がないんだって。

♬ F B♭
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