恋する吹奏楽部
すきだよ。
わかったんだ俺。
君の事、好きなんだ。
ありがとう。
そして、
さよなら。
(だめ、行かないで…)
(もう離れたくないです)
(あと1秒でも)
(側にいさせてください)
(先輩…)
俺は大翔聖良。
たまに思い出す。
もう会えない彼氏。
そして大好きな先輩。
俺と先輩が出会ったのは2年前の春。
俺は吹奏楽部に入部。
そして当時2年の先輩に出会って、
恋に落ちたんだ
その先輩はオーボエの先輩で、名前は
やまと
名字がやまとの私と、名前がやまとの先輩。
これがキッカケでよく話すようになったんだ。
先輩が好きだと気付いたのはある部活終わりの放課後。
「あ、大翔ちゃん」
「先輩!!」
「どう、部活には慣れてきた?」
「はい、先輩もみんな優しいですし、なによりやまと先輩がいてくれて色々と助かってます!」
「本当?それはよかった!」
「やまと先輩、1年生にすごく人気なんですよ!」
「えー、そんなに?」
「本当ですよ!なんかあったらとりあえずやまと先輩なんですよ!」
「へぇーそんな頼られてんのか、大翔ちゃんのためにもみんなのためにも頑張ろうっかな」
先輩に大翔って呼ばれるたびにそわそわする。
恥ずかしいというか、くすぐったいというか。
呼ばれるだけで幸せを噛み締めれる。
あぁ、私ってやっぱり。
薄々気付いてた。
やまと先輩が好き
隣にいたい
先輩の隣にいるときだけ、すべての事を忘れられる。
それでも家に帰れば…
私は大手株式会社社長の大翔昌雲(やまと しょううん)の一人娘。
いくらまだ中一でも未来の女社長。
会社をもっと大きくする約束がされていて、婚約者もいる。
この私がやまと先輩の事が好きなんてバレたら…
「じゃあな、大翔ちゃん!!また明日!」
「さ、さようなら!!!」
家に帰れば現実が。
「た、ただいま.....。」
「聖良!」
「は、はい」
「ここに座って。」
お母様が怒ってる。
「お、お母様?どうされたの?」
「昨日男と一緒に帰ってたらしいじゃない。」
「ちがいます!あれは部活の先輩!」
「今日も男と帰ってきたの?」
「え、えぇ。そうよ。先輩よ。」
「なるべく他の男とは関わらないで。」
「・・・。」
「返事は!」
「・・・はい。」
俺はあの時決心したんだ。
やまと先輩に告白するんだと。
そして、フラレたらもう一緒に帰らない。
そうしたらお母さんも怒ることはなくなる。
・・・・・・もう、それでいいって思った。