恋する吹奏楽部

一方その頃。

「りりー?あんた一体どうしたってのよ。」
私の名前は栗花落奈緒(つゆり なお)。
日本に数少ない名字なんで是非覚えていただきたいわ。
私は部活終了後、校門でトロンボーンの金原若葉(かねはら わかば)を待っていたの。
そしたらりりーが一人で玄関口からできたもんだからびっくりしちゃって。
だってりりーは今日千穂と帰る約束をしていたからね。
「奈緒ぉ・・・。」
「あんたツインテールぐちゃぐちゃじゃない。自分で結んだのね。ちょっと待って、家に帰る前にきれいにしていって。」
私はカバンからクシを取り出してりりーのツインテールをほどいて髪をとかし始める。
「奈緒、ほんまありがとうな。」
「おしゃれ番長の名前は伊達じゃないのよ。」
「ほんまやな、惚れ直すわぁ。」
「りりー、随分ぐったりしてるけどどうかしたの?もしかして千穂に先に帰られちゃった?」
「ううん、違うねんて。奈緒、相談乗ってくれへん?」
「え、えぇ、いいけど。私でよければ。」
「実はな、さっきなゆが木管合奏あるって言ってたやん?」
「うん。」
「それ、なかってん。」
「うん。」
「で、なゆに「私この髪型きらい」っていわれてんやんか!」
「う、うん。」
「で、ゴム取られてさぁ、「こっちの方が綺麗」とか言われて・・・。」
「で?」
「いや、その、あのさ、キス?されちゃった」
「(<●>ω<●>)!?」
「いやぁ、本当なゆはよくわかんないなぁ」
「おい、りりー」
「ん?」
「お前なゆに一体なにをしたんだ(真剣」
「いや、私が被害者なんやけど。」
「私たちからしたらなゆ>りりーだからね。」
「え、ひど!そこはイコールやん!!」
「りりーと一緒になんかにされたらたまんないよな。私なら絶対無理。」
「そんなこと言わんといてぇやぁ!!!」
「ほら、結べたわよ。」
「ありがとう!あれ、いつもよりすこし位置低いとこで結んだん?」
「それですこしは大人っぽく見えるわよ。」
「ほぇ・・・!さすがおしゃれ番長やん!!」
「どうもどうも。りりー、一緒に帰る人いるの?」
「えぇ、千穂は先帰ったしどうしようかな。一緒に帰ろ?」
「いやよ、逆方向じゃない。」
「えー。」
「あ、りりー、一緒に帰ろ!」
「栞鳳!」
そこに現れたのはテナーサックスの青海栞鳳(あおみ しおん)。
サックスパートで二番目に上手。
ちなみに一番は意外にもりりーだったりする。
りりーはソロも全部こなして音程も安定しているので岡重先生いわく未来のプロ奏者。
栞鳳もテナーじゃなくてアルトだったらもっと出番が多くてりりー以上に伸びたと私は思う。
自慢じゃないけど蘭舞中学校吹奏楽部では現在ラッパの私とアルトサックスのりりーとクラリネットの美喜が高校推薦候補に挙がっている。
まぁ、吹奏楽強豪高校に推薦で入れちゃうわけ。
そこにいけば吹奏楽も続けられるし、プロ入りの近道ができる。
美喜はもうプロ入りしてるからもう確実なんだけどね。
行きたいな、せっかく岡重先生に認めてもらって未来に光がみえた。でもそこに私の大好きな仲間はもういないんだよな。
迷ってる、私。
「じゃ、栞鳳と帰るわ!奈緒、ツインテありがとうな!またやってなー!」
「奈緒ちゃん、ばいばーーい」
「ばいばい」
夕日が眩しい。
みんな進路どうするのかな。
りりーや美喜は強豪校に行くのかな。
行ったらラッパもっと吹けるんだよね。
でも、いままで一緒にやってきたみんなとお別れなんだよね。
みんなとお別れしたくないな。
でも岡重先生あんなに褒めてくださって、私の努力をみとめてくれて推薦候補に入れてくれたのに、その高校にいかないのもなんだかなぁ。
ラッパのみんなにとりあえす聞いてみよっかな。
あーん、千穂とか絶対なんも考えてなさそう。
あんなダメ兄貴ぜったい欲しくないわ。千夏ちゃんに失礼だけど。
とりあえず若葉との帰りに聞いてみようかな。
若葉早く来ないかなぁ・・・。
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