恋する吹奏楽部
「祈舞(いぶ)。」
「ん?」
佑都が握っていた私の手を離した。
「もう、別れよう。」
「-----。」
私の名前は望月 祈舞(もちづき いぶ)。
ごく普通の女子中学生です。受験生です。
特に変わったことといえば、全国レベルの吹奏楽部に入部してて、トロンボーン吹いてることかな。あと彼氏がいたこと。その彼氏がホモだったってこと。
去年のウィンターコンサートの後に私は佑都に、夕璃は夢雨に、告白した。
夕璃は返事をもらえなかったけど、私はもらえた。
しかもOK。
それからずっと二人で帰ってた。
今日も二人手をつないで。
突然の別れ。
私何かしたのかな。
私ってそんなに可愛くなかったっけ。
佑都といるときは絶対に可愛く決めてたのにな。
デートのときはおしゃれ番長の奈緒にいつもお世話になってた。
髪だって背中を覆い尽くす長さから肩よりすこし長めのラインまで切って、前髪も整えてイメチェン成功したのに。
全部無駄だった。
私と佑都が別れなきゃいけない理由は私には思いつかなかった。
けど。
部屋に一人こもってて、冷静に考えるとわかったよ。
夢雨だ。
佑都は夢雨がすきなんだ!
なるほど、私も夕璃も失恋したわけだ。
「う、うぅ・・・。」
なんで失恋ってこんなに苦しいのかな。
「ゆ、う・・・とぉ・・・・。ゆぅ、うとおお。。。」
こっちはこんなに相手のことを思ってるのに、
相手には届かないから辛いの?
それとも。
最初から私の思いなんて届いてなかったのかな。
佑都。
夢雨とお幸せに。
絶対に私みたいにはならないでください。
そのとき私の携帯が鳴った。
「だれ?」
メールは千穂から。
千穂【好きだった子にフラレたよー。゚(゚´Д`゚)゚。】
え、なんか今の千穂まるで私みたい。
祈舞【好きだった子ってだれ???】
私はすぐに返信した。
千穂【祈舞はだれだと思う?】
「だれっていったって・・・。」
だれだろう。
りりい?奈緒?夕璃?咲々?真白?美喜?若葉?
だれ???
祈舞【わかんない】
千穂【絶対だれもわかんないよ!】
祈舞【なにそれ(笑)私もね、さっきねフラレたの。】
千穂【ええええ、祈舞って誰と付き合ってたっけ?(笑)】
祈舞【佑都だよ。トロンボーンの。】
千穂【わああ、ゆーくんと別れたの!?】
祈舞【そうだよー(´・ω・`)】
千穂【えー、祈舞かわいそう!】
祈舞【じゃあ私の彼氏になってよw】
千穂【いいよー、千穂もね今悲しいから祈舞と付き合う!】
げ、まじかよ。
内心そう思った。
でも私と同じ状況にいる千穂なら私の今の気持ちわかってくれると思った。
ちょっと嬉しかったのかもしれない。
祈舞【じゃ、今からカップルだね(^ω^)】
私たちの交際がスタートした。