恋する吹奏楽部

「誰か助けてええええええええ!!!」
祈舞と千穂、千夏が不在中のお昼。
「どうした?」
一年の子が音楽室に入ってきて叫んだ。
とっさに三年の男子や近くの子が反応。
「恵美ちゃんが!!」
恵美は、一年フルートの三谷 恵美(みつや えみ)。
「三谷がどうしたんだ」
「不良に絡まれてて!」
三年男子軍の佑都、夢雨と二年男子河名木が音楽室を飛び出し、一年の子についていった。
そしてそのあとに部長と副部長が続き、フルートの神樂や奏子も飛び出した。

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「あ、あ、あの、私、部活行きたいんですけど・・・」
「吹奏楽部にいきたいの?w信じらんねぇこいつwww」
学校の正面玄関で一年の恵美と、ギャルが言い合いをしている。
「三谷!大丈夫か三谷!」
「梶間先輩!東先輩も、河名木先輩も!!」
「何があったんだよ、おい、そこの金髪!」
「佑都待って、この金髪女ってまさか。」
夢雨と佑都が顔を見合わせた。
「「極美(きわみ)。」」
恵美に絡んでたのは二年のギャル、松宮 極美(まつみや きわみ)。
元吹奏楽部である。

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「今日の合奏は中止です。各自で個人連に励むように。」
「「はい」」
部長さんが指示をだして、私たちは音楽室をでて、打楽器部屋に向かった。
「梨恋。」
「ん?何笑満。」
「怖いね。」
「うん。」
笑満と一緒に打楽器部屋に入った。
「ついに吹部の子にまで手出したね、極美。」
「まぁ、元ここの部員だしね。いつか吹部の子が絡まれるんじゃないかなとは思ってた。」
「私極美嫌い。」
二年生の先輩が「松宮 極美」っていうギャルについて話してる。
去年までその松宮極美さんも二年生の先輩と一緒に四月に入部し、バリトンサックスを吹いてたらしい。
でも家庭の事情で退部。
そのため二年生にバリサク奏者はいないんだ。
退部後かなり荒れてたみたい。
それで今は校内でも有名なギャル、不良呼ばわり。
私たちもちょっと怖いから避けてたけど、まさか自分たちの先輩だなんて。
「あのさ、梨恋。」
「何?」
春乃いわく、二年生が少ないのには「松宮 極美」が全部関係してるらしい。
二年生はオーボエや、ファゴット、バリサクがいない。
みんな「松宮 極美」と部活を辞めたらしい。
そのあとやっぱり三人グレて・・・。
いつも「松宮 極美」の周りにいたふたりの子も先輩だった。
やっぱりショックだった。
「戻ってきて欲しいね。先輩たち。」
「そりゃもちろん。」
春乃は頷いた。
「でもね、ファゴットって二年がいないから一年が二人いるんだよ?ファゴットって高いからさ、ここの学校三本しか持ってないの。」
「そうなんだ・・・。先輩帰ってきたらどうなるの?」
「バリサクとオーボエの先輩は元のパートになるだろうけど、ファゴットの先輩は違うパートになるかもね、トランペットなんて二年二人しかいないもん。」
「そっか・・・。」
「ま、先輩が増えるのは嬉しいけどね。」
春乃はシンバルを持って渡り廊下で百回打ちを始めた。
私は今一年生合奏で苦戦しているエンターテイメントマーチのシロフォンの練習をすることにした。
二・三年合奏でももちろんやってるわけだから美雨先輩に教えてもらおっと。
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