恋する吹奏楽部

「ねぇ、先生。」
「ん?」
「先生って大体どこら辺まで馬鹿なんですか?」
「一年のくせに先生にたいして随分と上から目線ね」
「いや、一年生縛って準備室に監禁してる教師に敬語使ってるだけ偉い方ですよ。」
「監禁とは失礼な!!」
「いや、まんまそうでしょ。」
「あああああ、うるさいなー一年生男子は!!河名木は静かに座ってるぞ!!」
「先輩と比べるんですか!?」
「あの爽やかイケボ彼女持ちイケメントロンボーン吹きの河名木先輩とこの俺たちを比べるんですか!?」
「いや、俺そんないけめんじゃねぇし。」
「先輩可哀想です。」
「いや、いや、いや。」
「お前らそれ自分で悲しくならないのかよ。」
「「「はい。」」」
「・・・。」
今岡重先生と準備室にいる三人の一年生男子と二年男子。
二年生トロンボーンの河名木。
トランペットの愛夢、
ホルンの美澄叶多(みすみ かなた)、
打楽器の知弥。
彼らは今、準備室の椅子に座っている。
というか実は後ろで手首を縛られている。
「君たち、今なんでここにいるのか知ってるのか?」
「あの、先生。」
「なんだぁ、河名木。」
「まずこの紐をとかないと通報します。」
「すいません。」
Take,2
「君たち、今なんでここのいるのか知ってるのか?」
「いえ。」
「さぁ?」
「?」
「・・・?」
「まぁ、それもそうだろう。実は今日は・・・。」
岡重先生の表情ががらっと変わった。
「勇舞(ゆうまい)中学校の八重奏(オクテット)たちが来る。」
この一言に四人は目を見開いた。
「あのオクテットがですか!?」
「あぁ。」
「なんでですか?」
「実は今回初めて勇舞中学校と共同強化合宿を行うことになった。」
これには四人、目を飛び出した。
「なななななな、なにをたくらんでるんですか!!!??」
「ほらあああ、みんな逃げ腰になるでしょー!だから縛ったのにー。」
岡重が頬を膨らます。
「合宿ってコンクールメンバーでですか?」
「もちろん、コンクールメンバーのみだが。」
「じゃあ、なんで一年生も呼んだんですか?」
「合宿での楽器運搬を一年男子にも協力してもらいたい。」
「・・・。」
「まぁ、そんなわけで、今日、オクテットと柳先生と加谷先生と、私、美蓮ちゃん、あと、各パートのコンクールメンバーの代表者一人、+この四人で顔合わせする。それを一週間前に伝えなきゃダメだったんだけど、君たち四人にだけ忘れてた。」
「俺たちの扱いって・・・。」
「なんで当日に言うんですかあああ」
「あー。うるせー。」
そのとき。

こんこん

「失礼しまあす。」

オクテットがきた。

勇舞のオクテット、

強豪の勇舞中学校吹奏楽部の八人。

中学生最強と呼ばれる八人だ。
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