恋する吹奏楽部
「失礼します。」
準備室へ足を踏み入れる。
あれ、先生いない?
私は二年生の堤 春菜(つつみ はるな)。
吹奏楽部でフルート吹いてます。
コンクールメンバーに無事に選ばれ、今度の強化合宿に参加します。
そこで、コンクールメンバー二年代表として二年生の合宿参加代と部費と書類を集め、先生に提出しに来た。
でも美蓮先生も岡重先生もいない。
「?」
岡重先生の机がきれいに片付いている。
まぁ、たまに栗花落先輩がきれいにしてるからまだわかるけど、先生の机の上に一冊の本が乗っかっていた。
「【幻想曲】?」
本の表紙にはそんなふうに書いてあった。
本はすごくボロボロだった。
私は書類を先生の机の上に置き、本を手にした。
私は吸い込まれるように本のページをめくった。
-1------
0覚醒。
--------
「え?これだけ?」
1ページ目にはこれだけしか書いていなかった。
しかもこれ・・・。
手書き・・・?
岡重先生が書いたのかな。
私は準備室を見回し、唾を飲み込んで、2ページ目にうつった。
-2------
AriA覚醒。
これは楽園に大きな影響をもたらす。
--------
「あ、り、あ?」
なんなんだろ。
私は3ページ目に目をうつす。
-3------
アン、デスティニー覚醒。
アンは天使。
デスティニーは血液。
--------
-4------
禁断の果実。
知識の実。
--------
-5------
巡。
これは血液を示す。
--------
-6------
もうひとりの0。
絶対零度。
--------
6ページ目まで読んでるとき、外で誰かが近づく音が聞こえた。
「先生だっ。」
私は本を戻し、準備室をでる。
「あ、春菜ちゃん。」
「先生、書類、机の上に乗せておきました。」
「おー、てんきゅー。」
平然を装う。
オクテットの先輩と柳先生を駅まで送っていった岡重先生と美蓮先生は普通に準備室に入っていった。
「あれは一体・・・?」
手をみてギョッとした。
黒いインクがついていた。
つまり、あの本には書きたてのページがあっんだ。
先生の机の上に羽のついたペンがあったのを思い出す。
「あの本・・・。」
私はあの本の謎を解かないといけないような気がした。
あの本は私たちに関係している。
はやくあれを手に入れなきゃ。