恋する吹奏楽部
CATS
「「よろしくおねがいしまああああす」」
今日から、ここ、海が近くの宿泊地で蘭舞と勇舞合同強化合宿が始まる。
そしてたまたま、式舞との合宿とも重なった。
一日目、今日のスケジュールは
2:00 宿泊地到着
2:30 各部屋荷物整理
3:00 決められた場所で音だし
4:00 打楽器を乗せたトラック到着予定
打楽器をホールに運搬
5:00 勇舞蘭舞合同で合奏開始
5:30 基礎合奏が終わってから勇舞課題曲発表会
蘭舞課題曲発表会
6:00 勇舞蘭舞各パートで交流
打ち合わせ終了後楽器を片付けて部屋に戻り休憩
7:00 夕食
8:00 入浴(勇舞女子は北館、蘭舞女子は南館、男子は全員南館。)
9:30 消灯
になっている。
現在は三時をちょっと過ぎたころ。
私は槇島 奏子(まきじま かなこ)。フルートね。フルートは201号室での音だし。
「失礼しまぁす。」
「あ、きたきた。」
「全員揃ったね。」
当初、この合宿はコンクールメンバーのみの参加のはずだったが、どうせなら二・三年は全員参加にしちゃえってことになった。
つまりこのへやには全員で六人いるはずだけど、見知らぬ顔の子が一人混じっている。
もしかして。
「あ、あなた、オクテットの!」
勇舞のオクテット、フルートの天空 真衣(てんくう まい)ちゃんがいた。
「初めまして!勇舞のオクテット、天空真衣です!」
「は、初めまして・・・。」
やばい、中学生最強フルート奏者がここにいる。
私の目の前に。
私に話しかけてるっ!
前に勇舞が蘭舞を訪問したときは保乃花が天空さんと喋ってたらしいし、その日は私は塾のテストの日でおやすみしていたから天空さん本人を見るのはこれが初めて。
やばい、やばい。
かわいい。
「わ、私、蘭舞の三年フルートの槇島奏子です!」
「知ってる知ってる!去年ソロコンで東関東出たでしょ?」
「はい!」
「あ、タメ語でいーよー!奏子ちゃんでしょ!勇舞のフルートパートってみんな今蘭舞に夢中なんだ!」
「え、そうなんですか?」
私と同じように顔を真っ赤にさせてる二年の堤春菜がいった。
「うん!なんせ全国候補だからね。」
「そんなん言ったって、うちだけじゃなくて、日本中がオクテットに夢中だよ!」
「えぇー、そう?」
「オクテットっていったら中学生最強だよ?私たちのヒーロー兼ライバルだもん。目標だよ。」
「えー嬉しいー。照れちゃうっ。」
やばい。
真衣ちゃん本気で可愛い。
「あ、もうこんな時間。じゃ、隣で音だししてくるね。また、あとで!」
「真衣ちゃんかわいいいいいいいいいいいい」
真衣ちゃんが出て行ったあと保乃花が叫んだ。