恋する吹奏楽部

-柳葉玲視点-

「待って、玲!」
「ん?」
「私も行くよ!」
「私も!」
「行く行く!!」
「・・・みんな。」
栗花落先輩に呼ばれ、これから皆で柳先生のところへ行って、優羅ちゃんの事を説得しに行くことになった。
そのときたまたま栗花落先輩の話を聞いていた姫埜、春菜、あすなが協力してくれることに!
てなわけで、私と千鳥美歌先輩で、オクテットの闇野琴璃先輩の元を訪れることにし、河原千穂先輩、志摩巡美先輩が柳先生の元へ行き、あとから栗花落奈緒先輩、伊賀崎姫子先輩、帯刀林檎先輩もあとから柳先生の元へ。
残った姫埜、春菜、あすなは岡重先生のところへ行って助け舟を出してもらう。
みんな、優歌のために・・・ありがとう。
優歌と、優歌の大切な妹のために。

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-堤春菜視点-

なんだか大きな出来事が起こりそう。
栗花落先輩と玲ちゃんが話をしているのを聞いて、まず一番最初に頭をよぎったのがこれ。
だからつい「私も」とか言っちゃった。
まぁ、でも、本に何かあるかもだし、一応優歌ちゃんも大事だから岡重先生のとこに行くことになった。
「先行ってるよ!」
「うん!」
足の速い姫埜が先に行く。
そのあとをあすなが追う。
私は靴ひもを結び直して、本を抱えて駆け出して、角を曲がった時。

ドンッ

「きゃあっ、」
「きゃっ、」
誰かと正面激突。
私の前には私と同じくらいの少女が倒れていた。
「す、すいませんっ、大丈夫ですか!?」
私は即座に少女の手を引く。
「いえいえ、こちらこそっ、」
ぎょっとしたのは彼女の手があまりに細くて青白いから。
「あ、あなたもしかして!?」
私はつい声を上げてしまった。
式舞の、、、
「女神...!?」
小指が変に細い。
ホルンを吹くと小指が細くなる。
つまりこれはホルン吹きの証拠!
おまけに噂にまでなっていた【女神特有の雰囲気。】
「あなたが、女神?」
目を見開く私を見て女神が唇を尖らせる。
「女神じゃないです。上月詠唱です。」
女神、じゃなくて、上月さんはそっぽを向いた。
「ご、ごめんなさい、」
私はそう言って詠唱の手を引いて起き上がらせた。
「あ、いえ、こちらこそぶつかっといてすいません、、、」
「上月さんって式舞ですよね、合宿カブったんですね笑」
「えぇ、、、ってことはあなた勇舞の方かしら?」
「いえ、蘭舞のフルートです。上月さんと同じ年ですよ。」
「あ、そうなんですか!蘭舞の噂聞いてますよ、文化祭の演奏はコスプレするとか笑」
「しますします!去年やりました!笑」
上月さんがクスクスと笑う。
美人だなぁ、
ふとそう思った瞬間、上月さんが私に向かって倒れ込んだ。
「う、上月さん!?大丈夫!?」
「え、えぇ、ごめんなさい、最近体調悪くて、、、」
上月さんが私の足元にへたりと、座り込んだ。
足元には私の本が。
「上月さん大丈夫?」
「えぇ、大丈夫、、です、けど、あなたは、」
「あ、私、春菜です、堤春菜です。」
「春菜さんは、一体何者なの?」
「え?」
「ただの部員じゃないのね、この本を見る限り。」
「え!?この本のこと、何か知ってるですか⁉︎」
「ごほっ、えぇ、...知ってるわ。お互い敬語はやめましょう。知りたいなら場所を変えましょう。ここは人通りが多過ぎるわ。」
「上月さん立てる?」
「詠唱って呼んで。春菜。」
「う、うん。」
詠唱は自ら立ち上がりよろよろと歩き出した。
「詠唱、この本って一体なに?誰が何の為に作ったの?しかもなんで詠唱がこの本のこと知ってるの⁉︎」
私の質問に詠唱はそっと答えた。
「 」
















え.....?

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