恋する吹奏楽部
-徳本縷々視点-
好きなの。
紡の事が。
でも、紡は、岡重先生が好き。
振り向いて欲しいけど、けど、
私じゃ、釣り合わない。
あんなにかっこいい紡には、もっと可愛い子が似合うもん。
そして誰よりも素敵な女性の、岡重先生が似合う。
もう、追いつかない。
追いつけない。
去年、私達今の3年生が2年の時。
私はコンクールにはのれなかった。
私は下手くそだからね。
紡は先生に惚れてからほぼ初心者同然から初めてわずか4ヶ月で1年間クラリネットを吹いていた私を抜かした。
紡は1年生の時は幽霊部員だったから、
2年生に上がってから吹き始めたクラリネットが、私より上達した。
先生のレッスンを受けてたのもあるけど、これはもう、才能なんだ。
美喜といい紡といい、皆才能に溢れてた。
私と違って。
この間、紡とこんな話をしたの。
「紡、」
「なに。」
「紡って、どんな人がタイプ?」
「んなの聞いてどうすんの。」
「いやー、同期だったらどんな人が好きなのかなって。いや、岡重先生一筋なのは分かってるけど!」
「うーーん、、、そうだな、簡単にいえば岡重先生だけど、うーーん。クラリネットが上手い人とか?多分そうだな、美喜とかさ。そんなかんじ。」
「へぇー、そ、そうなの。」
「縷々は?」
「え?」
「っだからさぁ、縷々のタイプ聞いてんの。」
「わ、私!?え、えっと、、、、」
(紡みたいな人だよ。)
こんなこと言えるわけも無くて。
『私もクラリネットが上手い人かなぁ、』
なんて下手くそな私が言えるわけも無く。
「せ、清楚な人とかかなぁ、ほ、ほら!海太みたいなね!!」
「ふぅーん。」
嘘つきな私。
ごめん。
初めてあったころからずっと好き。
想いを、音に乗せて。
貴方に届け。