恋する吹奏楽部
-岡重薫先生視点-
合宿が終わった今、私と美蓮ちゃんはピリピリしている。
もちろん、コンクールメンバーも。
勇舞以上の演奏を、でもって蘭舞らしい演奏を、みんなで研究している。
そんな中、こいつは。
「先生、コンクールで金賞受賞したら結婚してくれますか?」
「しつこいなーー!!!」
こいつ、飯島紡。
邪魔ーーーー!!!
「何回言えばわかるんだよっ、練習しろ!残念なイケメンめ!!!」
「先生やめてください照れます。」
「黙れ黙れ。」
いつもこんな感じで結局全然仕事も進まない。
「残念なイケメン、どうして君はモテる割りに私なんかと結婚したがるんだ。」
私がこういった瞬間、飯島の顔が歪んだ。
「先生がわるいんすよ。」
「は?」
「だってよ、先生、」
「うん。」
「先生が俺のこと、」
「全然思いだしてくれねぇからっすよ。」
飯島が俯いてポツリと言った。
「はぁ?」
一瞬何を言っているのかわからなかった。
「本当に覚えてないんですね、」
「なに、な、なんな、の、、?え、、?」
「ほら、思い出して来ました?」
「そ、そんな、違う、だって、飯島紡は、、今、、生きてる、、、」
「違うよ、先生。」
「え?」
「死んだんですよ、何回も。」
「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う。」
「違わない。先生、思い出してよ、ねぇ。」
「死んでなんかない!」
「いや、俺は死んだ。」
「だってほら、ここに、飯島紡がいるじゃない、、ね、、?」
「思い出せよ、岡重薫ぅ!!!」
飯島紡が準備室の机を蹴っ飛ばした。
「だって、あなたを殺したのは私でしょ!!」
私は必死になって飯島紡にしがみついた。
涙が止まらない。
「それは違うな、先生は俺を殺してなんかいねぇ。」
「殺したの、私が、私、、、」
「これは自殺。先生は関係ない。」
「本当は、紡を、守りたかったの、でも、でもね、殺しちゃった。」
「先生、」
「大好きだったの、」
「先生、、、」
「ごめんね、佳奈。」
3人だけの、秘密。
「(やっぱり、好きなのは俺の中身の人なわけね。)」