アイノカタチ
action1
いつになったら、この真夏みたいな暑さに身体は慣れてくれるのだろう。
漸くビルの合間から日差しが見え始めたにも関わらず、昨日の熱が未だ蓄積しているかのようにアスファルトから熱気が登り、徐々に身体が汗ばんで来る。
夏が来るには、まだ4ヶ月近くあるのに。昼迄には真夏の暑さ。本当に都会の気候というものは、訳がわからない。
♪~
後少しで会社のビルに入ろうと言う時、携帯の着信音が鳴り響く。
ディスプレイを見ると。
朝から声なんか聞きたくない人物。
しかし、取らねば私の身が危うい。全く。
何故こんな事になったのやら。
私は、深いため息を吐きつつ、受話器ボタンをタップする。
「おはようございます。櫻崎でございます。」
高くそびえ立つビルを薄眼で見つめながら、挨拶をする。
『スカイビレッジ』
私、櫻崎 遥が務める会社である。
IT企業らしいけど、もともと私が探していた職種じゃないし。初めて聞く専門用語に今でもタジタジ。職員とは、ほんの数分会うだけだからまだ助かるけど。
地元では、流石に仕事が見つからず。
泣く泣く都会へと流れてきた私は、ひょんな事からここで働く事に。
すぐさま仕事が 見つかったのは嬉しいが。
若干これで本当によかったのか?と、不安になる時がある。
それと言うのも。
『出るのが遅い』
「…申し訳ありません」
かなり不機嫌なで電話口の向こうから、第一声が発せられ、私は肩まゆを吊り上げ呆れる。
『お前は、何度言わせれば理解できるんだ?
着信音が鳴ったら、3回以内に出ろと毎度毎度注意してるはずだが?』
「…申し訳ありません。
すぐ出せる場所に携帯を配置しておりませんでした。
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