卑怯な私



「優子、ご飯」



テレビを観ている優子に声を掛けると、電源を切ってこちらへやってきた。



昔は声を出してテレビを楽しんでいた。



面白かったら笑ったり、感動したら泣いたり。



優子はテレビが好きだったからきっと苦しいんだろう。



俺のせいで不自由に暮らす羽目になり本当に申し訳なく思う。



「今日はカレー。ごめんな、こんな在り来りな料理ばっかりで」



授業でしか料理をしたことない俺は一般的料理しか作れない。



【いいよ。作れない私も悪いんだし】



家では小さいホワイトボード、外では手帳を持ち歩くようになった。



「優子の作る料理は破壊的だもんな」



俺が軽く笑うと、拗ねてしまった。


< 114 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop