卑怯な私
「優子、ご飯」
テレビを観ている優子に声を掛けると、電源を切ってこちらへやってきた。
昔は声を出してテレビを楽しんでいた。
面白かったら笑ったり、感動したら泣いたり。
優子はテレビが好きだったからきっと苦しいんだろう。
俺のせいで不自由に暮らす羽目になり本当に申し訳なく思う。
「今日はカレー。ごめんな、こんな在り来りな料理ばっかりで」
授業でしか料理をしたことない俺は一般的料理しか作れない。
【いいよ。作れない私も悪いんだし】
家では小さいホワイトボード、外では手帳を持ち歩くようになった。
「優子の作る料理は破壊的だもんな」
俺が軽く笑うと、拗ねてしまった。