卑怯な私
「翔樹~!」
晩御飯を作っていると、後ろから飛びついてきた。
元気な優子の声がリビングに響く。
また当たり前の様に優子の声が聞ける日を楽しみにしていた。
「危ないだろ!」
「ふふ~、だって嬉しいんだもん」
今迄声が出なかった分、ここ数日優子の口が開きっぱなしだ。
「ねぇ、今日のご飯は何?」
ヒョコっと腕の間から顔を出してきてまるで子供みたいだ。
だから危ないって・・・・・・
「今日は餃子だよ」
優子に気を付けながら白菜を切り終えると、挽肉の入ったボールに入れて行く。
「私も手伝う!」
手伝うと言われても・・・・・
「お前料理出来ないじゃん」
「そうだけど~」
ムッと口を尖らせる優子は本当に子供だ。