卑怯な私
「「HappyBirthday!!」」
小さなケーキにロウソクを灯しながら翔樹と2人で声を上げる。
「優子ももう29かぁ~」
「仲間が増えて行って嬉しいんでしょ」
「まぁな」
はっきりと言い切る翔樹と顔を見合わせると、同じタイミングで噴き出した。
「優希は3月だもんな」
「私はまだまだ若いよ~。って、28になって半年経ってないし」
「そりゃそうだ」
また翔樹が吹き出すから、私もつられてしまった。
優子が居なくなった翌年から、私達は優子の誕生日を祝うことにした。
ただ待っているだけは嫌だった。
何もしないで1年、また1年過ぎ去るのを想像しただけで自分が嫌になった。
本当ならココに優子が居て、遊人が居て。
それが一番望ましい光景だった。