卑怯な私
薄暗い倉庫に入ると、魚が沢山冷やされていた。
「こっちこっち」
手招きをしている江川(えがわ)さんに近づく。
「今日の目玉は~?」
「鰹に決まってんだろ!」
「そりゃそっか」
私の当たり前の質問に笑い声が響く。
「優ちゃん、鯵も一緒に獲れたんだけど居るか?」
「本当!?要る要る~。健太(けんた)~!捌いて~!」
江川さんの息子、健太に頼む。
何時もココで魚を貰う時は健太に捌いて貰っている。
「へいへい」
めんどくさいと態度に出しながら青いかごに鯵を数匹入れると、倉庫の外に出た。
「何にする?」
「ん~と、たたきと三枚卸しを3枚分で」
「りょ~かい」
料理は近所の人たちに教わりながら出来るようになったが、魚を捌くことだけはできない。
だって気持ち悪いじゃん!