卑怯な私



「はいよ」



白いトレーに入れ、ラップを掛けて袋に入れてくれた。



「って、なんでお前はそんな大荷物なんだよ!」


「だって茂バアと住谷さんがくれたんだもん」



この町では貴重な私の同世代。



「そんないっぱいどうすんだよ」


「肉じゃが作ってお裾分けすんの」


「へ~、それで鯵もお裾分け?」


「そう。お世話になってるしね」


「しょうがないから家まで持ってってやるよ」


「そう?ありがとう」



お礼を言うと、魚の入った袋ではなく野菜の入った方を持ってくれた。



不器用だけど紳士的なとこもあるんだよね。



先を歩く健太の後ろ姿を見てつい笑みが零れてしまった。

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