卑怯な私




「私を変えたのは翔樹だよ」



翔樹のせいにするのはズルイ“かも”しれない。



というより、ズル“イ”んだ。



翔樹に罪を擦り付ければ、きっといや、絶対に翔樹は私のことで罪悪感で一杯になる。



ちょっとでも翔樹の心に私が居るだけでいい。



「知らなかったでしょ。私が翔樹に惚れてたこと」



「嘘、だろ・・・・・・?」



「嘘にしないでよ。翔樹はどこまで私を惨めにするの?」



「ごめっ、・・・・・」



「掛ける言葉がない?そうだよね。翔樹には優希っていう彼女がいる」



私とは正反対な彼女。



私には程遠い存在。



「でもね、私には大事にする恋人は居ないの」


「優っ・・・・・・・・・!」



翔樹が名前を呼び終わる前に自分の唇で塞いだ。


< 78 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop