卑怯な私
一歩、また一歩近づいてくる。
私はそれから逃げるように一歩また一歩と下がる。
「キャッ・・・・・・」
階段の段差に踵が当たり、尻餅をついてしまった。
「へ~・・・・・・・、女か」
イヤ・・・・・・・
助けて・・・・・・
目から大量な涙が零れ落ちる。
グイッと顎を盛り上げられると、服のボタンが弾け飛んだ。
遊人以外の人とは身体を重ねたことがない私。
今目の前に居る男に恐怖しか感じない。
ピーンポーン・・・・・・
「・・・・・・・・・・っ!」
このチャイムが救いの神に思えた。
「・・・・・・・・け・・・・・て・・・・・・」
恐怖で全然声が出ない。