君がすき
「だーいじょうぶだってー!俺、早瀬っちのこと、そんな目で見てないからさ」
「あぁ、それは安心…じゃなくて!アイツに暴言しか言えない俺はバカなのか…?」
「あ、今朝のこと気にしてんの?」
その言葉に、思わず「うっ…」と唸る。
そうだ、今朝のこと。
家がすぐ近所の夢榎と一緒に、いつものように登校したときのことだ。
目の前を、ちょうど早瀬が一人で歩いていた。
俺は、教室に着く前から早瀬を見れたことに、ラッキーと思うと同時に、口を固く閉じた。
なんてったって、アイツは朝の機嫌がすこぶる悪い。
いつもなら防ぎきれるアイツからの攻撃も、もともと早瀬の運動神経がやたら良いことも相まって、
攻撃が鋭く、且つ、威力も増す。
今は声をかけずに、スルーしとくのが最善だよなー…。
さすがに俺も、朝からわざわざ早瀬と言い合いを始める気もなければ、気力もない。
……が、そんな俺の思いをぶち壊してくれたのが、隣を歩いていた夢榎だった。