君がすき
「にしても、それ痛そうだね、イズヤン」
「んぁ?……あぁ」
まっつんの言葉に、今朝の回想をやめて、自分の手の甲を見つめる。
早瀬の攻撃を防御した際に、自分で自分の手を誤って引っかいてしまったところで、
薄く血が滲んでいる。
「まぁ、自業自得だしな……」
はぁぁ、と大きくため息をつく。
なんで俺はこう…早瀬を怒らせるようなことしか言えねぇんだ…?
俺が早瀬を好きになった理由は、特にこれといって、ない。
中学の時に初めて会って、夢榎繋がりでよく一緒にいるようになって。
今みたいな関係でいるうちに、気づいたら気になるやつになってて。
今じゃ自分でもありえねぇくらい好きってどうなんだよ…。
って、俺は恋する乙女か…!!
昔、夢榎に読まされた少女マンガを思い出して、思わず空になったジュースを机にドンッと置く。
いつまでもこれじゃ、ダメだろ!
ちゃんと漢見せろ、俺!
ここは潔く、謝るんだ…!