君がすき
すると、そんな俺の心の中を知ってか知らずか、タイミングよく、その機会は訪れたわけで。
「まっつーんっ!空手部のマネージャーから、お届け物だよ!」
「ん?あ、早瀬っち、ありがとー!」
明るい声が聞こえたと思ったら、まっつんの元に駆け寄ってきた早瀬。
にこにこと笑いながらまっつんに、今後の部活予定を渡している。
って、ん…?
あれって、俺の分もあるはず……。
「あ、あとこれ、性悪ハゲ野郎の分ももらってきたから、まっつんに渡しておくね」
「性悪ハゲ野郎…!?」
思わずガタッと立ち上がると、早瀬はジロッと睨んできた後、フンッと顔を逸らす。
コイツ……!!
いや、抑えろ、俺!今、何か言ったら終わりだ…!
心の中で葛藤を繰り返しながら、グッと口と体を押さえこむ。
そして、そんな俺を見てニヤニヤ笑っているまっつんを盾のようにしている早瀬を、キッと見つめた。