君がすき
「ね、イズヤン、それ、どうすんの!?」
「返事はもちろん決まってるんでしょ?」
名前の子を思い出そうとしていれば、興味津々といったふうに、二人が顔を覗き込んでくる。
「んなの、断るに決まってんだろ…。大体…」
「イズヤンには好きな人がいるしね!」
「手紙受け取ってあげた私にも感謝してほしいくらいよ?叶芽に渡そうとしてたのを、私が声をかけて、代わりに預かったんだから」
好き勝手に言う二人に、小さくため息をつく。
俺、なんで二人に早瀬のこと、バラしたんだ……。
まぁ、夢榎には感謝か……。
早瀬に告白のメモを持ってこられたら、なかなかキツイ。
それほどに、早瀬が俺を意識してないことなんて、わかりきってはいるけど。
そういう点では、黙ってくれてる二人に感謝か…。
夢榎にはこの前、アメのこと、バラされかけたけど。
なんだかんだ、俺は周りに恵まれてる。
その分、恋愛に関しては前途多難だけど。
……勇気のある子だな。
可愛いメモに小さく書かれた文字を、俺はそっと見つめた。