君がすき
「あのね、まっつんって、久富の好きな人、知ってる?」
「ぶっふぉっ!!……え、なに!?いきなりどしたの、早瀬っち!?」
まっつんは驚いたのか、飲んでいたジュースを口から吹き出しそうになったのを、慌てて押さえる。
あたし、そんなに変なこと聞いた…?
あ、もしかして、好きな人がいること、知らなかったのかな…?
あまりのまっつんの驚きように、このまま聞いていいのか悩む。
すると、まっつんは笑いを堪えるようにしながら、あたしをジーッと見つめてきた。
「……まっつん?」
「ぶはっ、あ、ごめ……っぷ……。イズヤンの好きな人でしょ?知ってるよ。告白の返事してるとこでも見たの?」
的確すぎる言葉にコクリと頷くと、「なるほどね~」と、ニヤニヤと口元を緩める。
「まっつん、どうしたの?聞いたらまずかった?」
「いや、俺的には超楽しいから、全然!ただ、誰かっていうのは、本人に聞くべきだと思うよ?」
にっこりと返される笑顔に、あ、そうか、と頷く。
確かにこういうのは、人から勝手に聞くもんじゃないよね。
放課後、聞いてみよっと。
ニヤニヤと笑い続けるまっつんを隣に、あたしはズコーッと音をたてながらジュースを飲みきった。