君がすき
そしてやってきた、放課後。
「ねぇ、久富。久富って好きな人いるの?」
「…………は?」
終礼が終わって、部活に行く用意をしている久富に声をかける。
隣で、さっきみたいに吹き出したまっつんは、とりあえず無視。
机に手をつき、「どうなの?」と首を傾げる。
「…いや、待て。いきなりどうした、早瀬。いつまでもチビっこいから、脳みそも縮んだのか?」
「誰がチビよ!!だって、いるんでしょ?好きな人。まっつんが知ってるって」
「おい、まっつん!!!」
キッと睨む久富に、まっつんは「あはっ」とわざとらしく笑ってみせる。
「早瀬っち、偶然イズヤンの告白返事現場、見たらしいよ。あの、返事延期させられたやつ。だから気になるんじゃない?」
まっつんはそれだけ言うと、「じゃ、俺部長だからお先~」と、そそくさと教室を出て行く。
そういえば、まっつん、空手部の部長だったっけ。
まぁ、それはともかく。