君がすき
「…で、誰なの?」
「……誰だっていいだろ。なんでそんなに気になんだよ?」
ジッと見つめながら聞けば、照れたように少し顔を赤くしながら、ふいっと顔を逸らされる。
なんでって、そりゃあ……。
「だって、まっつんも夢榎も知ってて、あたしだけ知らないって、なんか気になるじゃんか!」
「…………あ、そーですか……」
あれ?なんか、残念がってる…?
っていうか、否定しないってことは、夢榎も知ってるんだ?
久富は、はぁぁぁ、と大げさにため息をつくと、ジッとあたしの方を見る。
いつの間にか、教室には、あたしと久富の二人だけ。
黙ったままの久富に首を傾げれば、不意に視線が交わる。
…真剣な顔。
小さく、ドキッと音がした。
「……俺の、好きなヤツは……」