君がすき
“俺の好きなヤツは…”“叶芽!!”
走りながら、二人の言葉を思い出す。
さっきは、ちょっとびっくりしたなぁ…。
あんなタイミングで夢榎に名前、呼ばれたから……。
小さく小さく、ドキッと音をたてた胸。
それに軽く息をはく。
なんか、珍しく久富の真剣な顔見たから、変な感じ…。
そんなに真剣に好きな子がいるなんて、すごいなぁ。
あたしなんて、そんな人全然いないし。
そういえば、夢榎とまっつんには好きな人、いるのかな?
「おっそいよ、叶芽ぇー!先生に呼ばれてるよー?」
「わーっ、ごめん、もっちゃん!今行く!」
体育館に着くなり、部活仲間のもっちゃんにムスーッとした顔で見られた。
部室にカバンを置いて、急いで着替える。
また二人にも聞いてみようかな。
あたしはまだまだ恋愛より、まずは、最後の部活!
「遅れてすみません!!」
そう謝りながら、今日も部活が始まった。