君がすき
私の想い人 side夢榎
「……邪魔しちゃった?」
叶芽がバタバタ去っていった、放課後の教室。
二人きりの静かな教室で、静かに、そう尋ねる。
「…いや。かえって、安心した。ありがとな、夢榎」
泉輝は、叶芽が去っていった方を見ながら、ホッと息をはく。
それに私は「どういたしまして」と笑って返した。
本当は、何も、泉輝のためなんかじゃ、ない。
私は、私を守っただけ。
まだ、私は、心から応援できないから。
二人の恋を。