君がすき
「……そっか」
松下くんは、一瞬きょとんとした顔をすると、すぐにフッと微笑む。
そしてグイーっと腕を上に伸ばすと、ニカッと笑った。
「工藤さんは、大人だね!」
「………そう?」
「うん。……でも、少しくらい、ワガママになったっていいと思うよ。
高校最後の年くらい、自分の気持ちを優先したってバチは当たらないと思うな」
ドクンッ……。
小さく鳴った胸に、バッと松下くんを見つめ返す。
なんで……。
誰にも、何も、言ってないのに。
驚いたまま呆然としていれば、「じゃーね」と言って、松下くんは行こうとする。