君がすき
「…………」
ズズーッとジュースを飲みながら、チラリと痛々しい視線の方を見る。
それは俺の席とは正反対の位置に座る、早瀬からのもの。
まさか、俺の発言がこんな事態を引き起こすなんて、考えてもみなかった。
でも、よくよく考えてみれば、俺だって予測できたはずだ。
なんてったって、早瀬はバカだ。
っていうか、バカ正直なんだ。
人にはよるだろうけど、高3にもなって、“チビ”と言っただけで、あんなに全力で反抗してくるヤツなんて、そういないはずだ。
普通は、受け流す程度のスキルは持ち合わせているはずの年なのに。
……まぁ、そこが面白くて可愛かったりもするんだけれど。
「早瀬っちの視線を一人占めって考えれば天才だけど、
早瀬っちのことだから、このまま永遠に気づけない可能性があることを考えたら、イズヤンはバカだね」
「……んなの、わかってんだよ……」
早瀬のことだ。
自分で、俺の好きなヤツが自分自身って気づくことは、まず、ない。
まぁ、俺の態度から気づけって言っても、多少の無茶があることくらい、俺も自覚してるけど。