君がすき



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「いっやぁー、あっつい!もうすぐ夏だね!」



放課後、部活の休憩時間。

水道に向かいながら歩いていると、まっつんが大きく伸びをする。

チラッと顔を見る限り、もう休み時間のことは気にしてないみたいだ。


まっつんは、滅多に怒らない分、一度気分を害させると、しばらくの間、恐ろしい空気を漂わせる。

その上、まっつんの地雷はものすごくわかりにくい。


暴言をはかれても笑って受け流したりできるのに、

俺が「好きなヤツはいるか」と聞いただけで、急に声が冷たくなった。


まぁ、まだ笑顔だっただけマシかもしれない。

笑ってないまっつんなんて、まっつんじゃねぇ。



「制服移行期間中って微妙な気温多いから、俺嫌いだなぁ。今日、学ラン着てきちゃったし」


「まっつん、ちゃんと天気予報見ろよ…」



そんな会話をしていれば、いつのまにか着いていた水道。

そこで顔を洗っていれば、ふと、すぐ目の前にある体育館に目がいった。



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