君がすき
「早瀬っち、一人なの?」
「さっきまで、もっちゃんと打ち合いしてたんだけどね。先生に呼ばれて行っちゃったから、暇で暇で」
そう言いながら、早瀬は地べたに座り込んだまま、つまらなさそうにラケットをぶらぶらと動かす。
「だからって、女が地べたで寝転がるか?普通」
高3にもなって、コイツ、恥ずかしいとかねぇのか?
っていうか、汚いって思ったりするもんじゃねぇのかよ、女って。
そんなことを思いながら、呆れ気味に早瀬を見れば、ムッとした顔で睨まれる。
「ここの地べた、冷たくて気持ちいいんだもん。っていうか、見下ろされてるのムカツク!縮め、バカ久富!」
「なんで俺だけなんだよ。見下ろしてるのなら、まっつんだって一緒じゃねぇか」
そう言って、隣にいるまっつんを見る……が、いない。
「わー、イズヤン、おっきーい」
「…!?」