君がすき



「早瀬っち、一人なの?」


「さっきまで、もっちゃんと打ち合いしてたんだけどね。先生に呼ばれて行っちゃったから、暇で暇で」


そう言いながら、早瀬は地べたに座り込んだまま、つまらなさそうにラケットをぶらぶらと動かす。


「だからって、女が地べたで寝転がるか?普通」


高3にもなって、コイツ、恥ずかしいとかねぇのか?

っていうか、汚いって思ったりするもんじゃねぇのかよ、女って。


そんなことを思いながら、呆れ気味に早瀬を見れば、ムッとした顔で睨まれる。



「ここの地べた、冷たくて気持ちいいんだもん。っていうか、見下ろされてるのムカツク!縮め、バカ久富!」


「なんで俺だけなんだよ。見下ろしてるのなら、まっつんだって一緒じゃねぇか」


そう言って、隣にいるまっつんを見る……が、いない。



「わー、イズヤン、おっきーい」


「…!?」


< 52 / 55 >

この作品をシェア

pagetop