君がすき



「叶芽、何か食べてる?甘い匂いするけど…」


「メロン味のアメ食べてるよ?久富がくれたの」



口の中でコロコロと転がして音をたてると、夢榎は「あぁ」と納得したように頷く。



「でもメロン味って……それって確か、泉輝が一番好きな……」


「あーあーあーあぁぁぁぁーっ!!ほらっ、アメなら夢榎にもやるから!」


「え?あぁ、ありがと……」



突然大きな声をあげた久富に驚きながら目を向けると、

久富は少し焦った様子で夢榎にアメを渡す。



「いちご味……」


「メロン味は早瀬にやったので最後だったからさ、それで勘弁してくんね?」


「……うん、ありがと」



……あれ?


少しの沈黙の後、夢榎がにこっと笑って見せると、

久富はホッとしたように息をはいてから、机の横にあるカバンを取りにいく。


その隙に、あたしは夢榎の顔を覗き込んだ。



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