君がすき
「どうしたの?叶芽もカバン取っておいで。せっかく部活休みで、皆一緒に帰れるんだから。コンビニ寄るんでしょ?」
「うん……」
仕方ないな、とでも言うように微笑む夢榎に、曖昧に頷き返しながら、
久富とは真逆の席…廊下側の一番後ろにカバンを取りにいく。
夢榎は職員室に用があったから、すでに帰る準備は万端。
気のせいかな…?
夢榎、なんだか落ち込んでたように見えたけど…。
ふと振り返って、夢榎の方を見る。
そこには、いつもと変わらず、久富と笑いながら話してる夢榎がいて。
「…ま、考えすぎか!」
一人、そう呟いてから、二人のもとへと駆け寄る。
「おっせーな、チビ子のくせに」
「だからチビチビ言わないでって…!!」
「二人とも、いい加減にしなさい」
「「……はい」」
そんな、いつものような会話が飛び交う、帰り道。
桜の花びらが、静かに舞い落ちていた。