君がすき
鈍感なアイツ side泉輝
「なぁ、まっつん。俺はバカか?」
昼休みの真っ只中、空になったジュースをしつこく吸い続けながら呟くように聞くと、
目の前に座っているヤツが「ん?」と顔を上げる。
「そうだねー。イズヤン、成績悪いしね!」
「そういう意味じゃなく!!」
ケラケラと笑いながら返してくる、クラスメイトであり、部活の仲間でもある、
松下 隆行(マツシタ タカユキ)に思わず脱力しそうになる。
いや、もう脱力はしてるんだが。
「わかってるよ。早瀬っちのことっしょ?」
「………そーだけど。なんだよ、早瀬っちって」
「え、あだ名だけど」
「…………あそ」
さも当然のように言うまっつんに、軽い嫉妬を感じる俺は重症なんだろうか。