少女を拾いました。
ザザァァァン…
ザザァァァン…
「さっむ~」
「…」
冬の海には俺達しかいなかった
まぁこんな寒い時期に海に来てる人
なんているわけないか…
「……くしゅんっ…」
「!寒いか?やっぱ違うとこ行くか?」
「…」
里沙はブンブンと首を横にふった
何でこんな寒いのに海何かに来たい
何て言ったんだろ…
俺は気になったので聞くことにした
「なぁ…何で海に来たいと思ったんだ?」
「……………思い出の場所…だから…」
「え……あ、そっか…」
思い出の…場所…か…
―――――…
『お兄ちゃん!!見て見て~お山つくったの~』
『本当だ!上手だね~』
俺は紫織の頭を撫でた
『お兄ちゃんも一緒に作ろう!!』
『うん!』
―――――――…
俺は…守れなかったんだ…
紫織の笑顔を…未来を…
グッ…
俺は拳を強く握りしめた
「っ…」
「……………颯斗………?」
俺は里沙の声ではっとした
「ごめん!!何?」
「………颯斗…苦しそうな顔してた…」
「……え…」
「……お母さんが言ってた…
悲しいことや困った時は海を見てると
全部吹っ飛んじゃうって…」
「…」
里沙は海を見ながら言った…
「颯斗…綺麗…」
「…」
「…………海、綺麗だよ…」