腹黒王子と意地っぱりガールの場合。
「どっどうした隼人?! 頭でも打ったか??!」



おかしい、普段のコイツは、絶対にまともな挨拶なんてしない!!


距離をつめて無遠慮に顔や肩を触ってみるが、普通の人間のからだ。

顔を見上げてみると、通常じゃありえない、さわやかさ100%の笑みを浮かべられた。



「何言ってるんだよ? まったく、あかりはかわいいなぁ」



つん。

「何やってんだよこいつぅ」的なノリで人差し指でおでこをつつかれて、頭が爆発したような気がした。



「おおおおおおまえ頭大丈夫か?! 正気か?! おかしいだろ絶対!!」

「はははははどうしたんだよあかりいつもどおりだろ」



もはや自分の顔が今赤いんだか青いんだかもわからない。

肩をわし掴み、がくがくと頭を揺さぶりながら叫ぶと、さわやかに笑いながら答えられた。

この時点で大丈夫じゃない。



「いや違うだろ!! 明らかにいつもとは違うだろ!!」

「……ああそっか、今日はまだ言ってなかったなぁ」

「は?」



そう言うと隼人は、自分の肩にあるあかりの両手を、それはそれはやさしい動作で掴む。

そしてその片方を、そっと自分の口元に近付けた。
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