腹黒王子と意地っぱりガールの場合。
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「……っし、俺もあがりッ!!」

「それじゃあ、バツゲームは残ったあかりと大鷲くんにけってーい!!」



白熱した本気のババ抜きは、結局お昼休みまで延長になり。

バツゲームがふたり出るよう最初に2枚のカードを抜いた結果、運悪くあたしと──となりに座る隼人になってしまった。



「うそぉ……」



あたしがショックを受けていると、となりで隼人が「あ~あ」とたいして気にもしていないような調子で言った。

そこで南が、1抜けした松井くんに訊ねる。



「で、バツゲームって何するの?」

「ん~、どーしよっかな~」



松井くんはあごに手をあてつつ何か考えていたけど、ちらりとあたしと隼人の顔を見たかと思うと、にっこりと一点のくもりもない笑みを浮かべた。


……なんか、嫌な予感がする。

そしてあたしの予感は見事的中、松井くんはとんでもないことを言った。



「じゃあ、ふたりで手をつないで校内1周してきて。」



…………。

は?



「はああぁぁぁっ!!? 何それなんでそんなことを……っ!!」

「1抜けした人の言ったことは絶対、だろ」



松井くんは悪びれもせずに、やはりにっこりとそう言う。

さっすが隼人の友達、イイ性格してる……じゃなくて!!
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