腹黒王子と意地っぱりガールの場合。
ちなみに現在の場所に席替えをする前は、あかりの前の席が隼人で、さらにそれ以前は、今と同じとなり同士。

どうやらこのふたりは、ことごとく席が近くなる運命らしい。



「(席替えのたびに、友達に羨ましがられるんだよなぁ……)」



そう考えて、この間の席替えの後の会話を思い出す。



『──いいなぁあかり、あの“王子”と毎回席が近くて』

『は? 法事?』

『なんでそーなるのよ! 王子よ王子!!』

『ええぇぇアイツが王子?!!』

『だってイケメンだし、勉強もスポーツも何でもできるしさー。あの人を王子と呼ばずに誰を王子と呼ぶの!!』

『あ、あの人とか』

『あれは大路くんよッ!!』



あかりがぼーっとそんなことを考えながら、隼人を盗み見ている、と。

不意にこちらを向いた彼と、バッチリ目が合ってしまった。



「何見てんだよ、あかり」

「べ、別に見てないし」

「せんせー、東堂さんがオレにガンつけてきます」

「なんでそーなるんだよ!!」
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