腹黒王子と意地っぱりガールの場合。
「東堂と大鷲は付き合ってるんじゃないのか?」

「へ?」

「(橘くん……聞きたくても聞けなかったことをさらりと……)」



いつだって怖いもの知らずな大和の言動に、椿は多少脱力する。

そしてそのまま、あかりの反応をうかがっていると……。



「やだなー橘先パイ。そんなことあるわけないじゃないですか」



思いっきり顔を歪めながら、あかりがハッキリキッパリ言い放つ。



「えっ?」

「そうなのか? はたから見れば付き合ってるようにしか見えないけど」

「ないない! も~そんな話はいいからさっさと仕事終わらせちゃいましょー!」



あかりのその言葉に、椿と大和は「そうなのか?」と首をひねりながらも再びテーブルに向かった。



「………」



パチン、パチンと資料のホチキス留めをしながら、あかりは考える。


……あたしと隼人が?

そんなのナイナイ!!

だってあたしたちは、言うなれば犬猿の仲。ただのケンカ相手みたいなもんなんだから──。
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