10年後のタイムカプセル
 追いかけたほうがいいのだろうか。でも追いかけたところで、壊れた関係は元に戻らないように思えた。
 家の方向に向かっていると、吉原の後姿が見えてきた。
「吉原!!」俺が、声をかけると、彼女は足を止めて振り返った。
「何?岸田君。私に何か用事?つまらない話なら、帰るわよ」冷たい視線に、一瞬言葉が出てこなかった。
「川村美加に、明日のタイムカプセルのこと伝えてくれないか?」
彼女の冷たい視線が、強くなるように思えた。
「何で、自分で伝えないの?いつも三人で仲良くしていたじゃない?それとも、なにか事情があるのかしら?人に頼むのなら、教えてよ。その理由」興味津々の表情で、俺に詰め寄る。
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