10年後のタイムカプセル
 「違うよ。私そんなこと思ったことない」
「言い訳は許さない。私知っているんだから」美香の小さい声をかき消す勢いで、私の声は大きくなった。
「週末に、拓也と美加がデパートで買い物してたって。クラスの女子が見たって」
「それは、それは!!」私の言葉に驚いた彼女は、何も言ってくれなかった。私の心に、疑惑の黒い渦が巻くのを感じた。
(何で、何で、何か言ってよ。間違いだって言ってよ。二人でそんなところ行っていない、人違いだって言ってよ)
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