龍の花――龍希――
琥亜はオレの座っていたソファの向かいに座ると目を臥せた
苦にはならない沈黙
下では胡陽や下の奴らがワイワイ騒いでて
たまに成之や樹杜も絡まれているようだった
「龍希」
シッカリ呼ばれた名にハッとして顔を上げると
オレを見つめる琥珀(こはく)色の双眸(そうぼう)
『ん?』
その瞳に幾度となく引き込まれそうになった
いつも胡陽とオチャラけフザけて
でも瞳の奥には暗黒がある
「ボク――いや、オレと逢ったときのこと覚えてるか?」
そして可愛らしい顔とは全く異となる低く男らしい声と口調
それは初めて逢ったときの口調―
その時の琥亜には危なっかしいけれど惹き付ける何かがあった
『あぁ』
――――――
――――
―――――
バキッ
ゴキッ
凄まじい物音にオレは目を醒ました
影龍を結成し間もない頃で物事を順序だてて行うことが出来ずムシャクシャしていたオレ
いつの間にか訓練と言いつつ影龍メンバーを鍛えるために毎日毎日ケンカをしていた
当時オレは10歳で
ソコラの公園にいる奴らは目もくれなかったが
気付けばオレやSHARKたちが来ると不良たちは隠れる様にコソコソと逃げる程怯えられる様になっていた
今でこそ正式な型を身につけ負けなしと言われている影龍だが、当時は酷いものでオレ以外は叩けば泣くような糞餓鬼
オレが暴れて敵が居なく無るんじゃ元も子もない
けれど負ける戦はしないつもりか
いつも不良たちには
逃げられる
んな時だった
――琥亜と出会ったのは