龍の花――龍希――
『…何が゙なんで"?』
琥亜は一瞬躊躇うような素振りを見せ
少し足を遠くに運ぶ
まだ少し潤んだ瞳でオレを見ながら
頭を整理したようだ
「お前…DRAGON?」
『あー、なんかそう呼ばれてるらしいな』
ゆっくりとオレに近付き、品定めするような視線を送ってきた
『琥亜、泣かないの?
お父上に何があったか知ってるでしょ?』
「な…まえ、名前…教えてよ」
オレの言っだお父上"という言葉に肩が大きく跳ねた
でも強がって…
虚勢を張って…
辛くないフリして…
『オレは龍希
龍希だよ
オレだけだから…
ここにいるのはオレ
それから琥亜――お前だけだ
お前が泣いても誰もわからないんだよ?』
きっと頬を流れるモノに気付いていないのだろう
唇を噛み締めて一生懸命堪えようとしている
頬が紅潮し目にたまった美しく悲しい水が光を反射し煌めく
人形のようだった彼の表情は幼いと言うよりあどけさを醸していた
『琥亜』
低く言うと顔を歪め抱き付いてくる
「龍…うっく
パパがね――逃げろって言ってね
逃げろって…言われてクッ」
ゆっくり頭に手を伸ばす彼の髪を指が絡める
『良いよ
別に
辛いなら立ち直るまで』