龍の花――龍希――
『琥亜…』
泣き疲れたのか膝の上で眠りオレの胸に寂しそうに頭を凭(もた)れさせている琥亜
『辛かったな』
神様は非情にもこんな幼い子を親と引き離してしまう
オレからも奪ったように…
あっさりと…
琥亜は血を見ると震え壊れた
「や゙あ゙ああああ
血ッ
血がぁああ」
そして初めて会ったときの様に
取り憑かれたかの様に荒れ狂う
無表情に
『琥亜っ』
「琥亜っ」
「大丈夫だからっ」
「安心してくださいっ」
「しっかりしろっ」
暴れた琥亜を全員で全力で止める
壊れた琥亜は当時のオレでは止められなかったんだ
お陰で全員持久力も力も俊敏さも付いたんだけど…
そこは感謝感謝
琥亜は影龍にはいられない
血を怖がったら暗殺なんてできない
そう思ったから琥亜に伝えた
影龍にはいない方が良い、と
「なんでっ…
龍までオレを捨てるのかよっ
オレを…
オレを独りにしないで
お願いだからっ」
想像もしなかった
親を失った琥亜の苦しみを
孤独感に苛まれていたことも
知らなかった
「龍は…
オレが嫌い?」
ううん、首を振る
「本当に?」
『あぁ』
これ以上琥亜を苦しませたくない
そう思った
『あのな、龍凰ってモンを作ろうと思って…
暗殺なんてさせれないけど…って奴らを集めて
あー、所謂暴走族?』
提案したのは暫く経ってから
「「「「はい?暴走族っ…!?」」」」
猛反対の末丸め込むのに時間がかかった
『琥亜、お前を龍凰の幹部にしたい
オレは影龍に集中するから、幹部と下を上手く繋いで、あいつらに道を作って欲しい』
そう言うと一瞬驚いた様だがニッコリ微笑んでくれる影龍の皆
『琥亜?良い?』
「おう」
琥亜はそれからキャラを作るようになった
いや、オレもボクもどちらも琥亜の本当の姿なのだろう