龍の花――龍希――





それを軽く笑って流すことができるのは恐らく希のみであろう


「…俺は!俺は一人で十分だっ」

必死に反抗しても



『ね?』


震える手に小さく温かな手を触れさせて

耳元で言われたら一瞬



堕ちるのは、いつでも一瞬―――



「……」

長い沈黙が二人の間を通りすぎると思われたが

「……わかった」

希に敵うわけがない



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