龍の花――龍希――
二人が去ってから訪れた沈黙を破ったのは龍希だった
『黙っててごめん
お前らも巻き込む気はないから…
好きにしてくれ』
静かにフラりと危なっかしく龍希は歩く
二階までの階段に足を掛け
一段一段踏み出す度に
殺したい相手への憎悪が溢れ出そうになる
巻き込んだのは自分
わかっているのに
元々相手への恨みがなければ
みんなをこんな…
こんな殺人に染めることもなかったのに
そう恨めしく思う