龍の花――龍希――
ただ同時に
酷く悲しそうに
酷く哀しそうに
ゆったりとした動きで
慈狼の手が彼女の頭へと延びた
160ソコソコの龍希は
185近くの慈狼からしたら
小さくて幼くて
どっからどう考えても子供で
だから
慈狼はこの時
自分が希を愛しく想うのは
家族の様に思っているからだと信じていた
自分を孤独から救いだし
共に日々を過ごしてくれる
ザックリ言ってしまえば――
家族なんかよりと比べ物にならないほど
近い存在