50音恋愛
さしすせそ
【さ】
*さようなら*
「さようなら……」
突然の転校が決まった私は、好きな人にさよならの言葉を伝えることが出来ず学校を後にした。
一人でつぶやいた言葉は誰にも伝わることが無く、悲しみが増すだけだった。
大好きだった彼にせめて「さようなら」くらいは言いたかったな……。
学校の最寄り駅から出ている新幹線の切符を買ってホームで待ってると
「おい……っ、待てよ……」
夢みたいだ。
大好きな彼が目の前にいる。
しかも、息を切らしていて走って来たんだって分かる。
嬉しいな……これでちゃんとさようならが言えるなんて。
「さような……」
「お前……っ、俺のこと好きなんじゃねーのかよ!
さよならだ?っざけんな!」
だけど、彼は私の言葉を遮って言った。
「会いにいく。絶対に。
さよならなんか言わせねぇよ」